心のこと

<共有できない部分>について

「結婚って、やっぱり妥協なのかな」と彼女はいった。 それは"愛し合うふたりならなにもかもがわかりあえる"という幻想が前提になっている、減点法の言葉ではないかと思う。そもそもパートナーでなくともありとあらゆる他者は、互いに孤立した存在からすれ違…

感情を言葉にするということ

「嬉しい」と言葉にするとその他の感情は切り離されて、じぶんの深いところに押しこめられ「私は嬉しいのだ」と感じるようになる。 実際には「嬉しい」や「切ない」や「悲しい」といういくつもの感情が絵の具のように入り混じっていて、そのなかのどれかひと…

いまここを感じるということ

恋人らしき男の子が缶コーヒーを手渡し、女の子が「わー、温かいね」と笑うのを見ていた。 だれかが「温かい」と笑うとき、僕たちはその温かさについて想像してみたりすることができる。冬の冷えきった手のひらに、熱い缶コーヒーが触れたときの温度を感じて…

緊張について

緊張の背後には相手に対する関心がある。 「緊張しないんですね」とか「慣れてますね」とよく言われる。そういうときはたいてい僕が相手に関心を持てないでいるか、相手の姿を捉えられていないときだ。空疎なコミュニケーションだなと感じたとき、僕は緊張感…

死にたいということ

僕もそれなりに、なんども死にたいと願ったことがある。このまま眠って目が覚めなければいいと祈ったり、うすぼんやりとした意識でプラットフォームに立ち、このまま電車に飛び込めるかなあ、でも無理だなあ、と思ったり、賃貸で首吊ったらきっといろんなひ…

悪意に遭遇したときに僕がしていること

あまりにアイデンティティを揺るがされるような言辞や行動に遭遇してしまったとき、そうして沸き起こった嫌な思考が頭から離れない、ということはしょっちゅうある。 そういうときにはたいてい「話す」か「書く」ようにしているのだけれど、どちらかといえば…

傷ついたときの対処法について

ある会話のなかで発された言葉や行動で傷つくようなことがあったとき、その言葉が吐き出された動機が一つでないことや、また必ずしもその動機が内部で完結しているわけではなく外部の別の要因にあるのかもしれないということ、またその言葉であなたの人格そ…

第三者としてじぶんの声を聴くということ

いぜん読んだいくつかの本のなかで、自分の会話を録音してみると様々なことが見えてくる、というようなことが書いてあって、実際に試してみたことがある。 さすがに知人との会話を録音するのは気が引けるので(自己反省という意味ではその方が効果が高いのだ…

話題をつくるということ、または自然な会話について

あらかじめ用意した話題で会話を組み立てるひとがいる。僕も定型文としていくつかバリエーションを持っていて、かつてはそのように会話のための準備をしていたこともあった。 話題を意識して会話をするということは、会社のような社交的であったり儀礼的な場…

だれかの体験について想像してみるということ

僕は折に触れ「最近なにか楽しいことあった?」と聞く。文面にすると素直すぎてなにか恥ずかしい質問のようにも見えてしまうかもしれないが、口頭で実際に尋ねてみればさほど違和感がないことがわかる。たいてい、あんまり思いつかないんだけど、と楽しむこ…