ブッダ・マウンテン

 

 孤独は永遠じゃない

 共にあることが永遠

 

           "ブッダ・マウンテン〜希望と祈りの旅"

 

 煙草を吸いにわざわざダッフルコートを羽織って外に出る。雪が降り出して、アスファルトに薄く積もっていた。あんまり寒いので半分も吸わないうちに火を消してそそくさと戻る。

 ブッダ・マウンテンという映画を観た。

 できれば映画館で観たかったなと思った。

 僕がまだ大学生だったころ、孤独を紛らわすためだけに映画館に通っていた時期があった。他人との付き合いが嫌だったあの頃の僕は観たい映画があるわけでもないのになんとなく映画館に行き、時間を潰してから学校に行ったり、適当にそのまま帰ったりしていた。

 この映画の登場人物はみんな不器用で、みんな孤独だ。社会にうまく溶け込めず、ギリギリのところでしか接点を持つことができない。その不器用さから周囲との軋轢を招き、さらに疎外されてゆく。

 とりわけこの若者たちの描き方が僕は好きだ。かれらは若者らしく自由奔放だ。たまにクラブのような場所に踊りに行くシーンが挿し込まれるけれど、そこではほとんど別の登場人物が描かれず、つねにかれらだけがフォーカスされる。かれらはお互いに3人でしか、人間関係をうまく築くことができないのだ。

 社会で生きることに不器用で、必死なのに耐え難いやりきれなさやむなしさを感じていて、誰かと一緒にいるときでさえ心のどこかに孤独が棲みついている、それでも自分を理解してくれる誰かがいるから生きていける、そういう孤独な魂の交流を描いた映画だと思う。

 ラストシーンは終わってから何度もリピートしてしまった。

 この映画を観ていると、ガラガラの客席に座りスクリーンをぼんやりと眺めていたあの頃を否応なく思い出す。老人がビニール袋を漁り、主婦が手帳になにやら感想を書き込み、仕事をさぼっていると思しきスーツの男が腕を組んで眠っている。僕はiPodから流れるトム・ヨークの歌声に耳を傾け、上映開始を待っている。