森達也『オカルト』

   たまたま時間があって図書館に行ったら森達也の『オカルト』という本が置いてあり、借りてきて読んだ。出版当時まさに旬だったDaiGoのことなんかも出てきたりして(宣伝?)、読み物としてはなかなか面白い本だった。

 こうした本で超能力について取り上げるとき、いつも気にかかるのは「手品でも可能だが」とマジックに目配せはするものの、考察する側があまりにもそのトリックに対して無知なことだ。つまり「現在のマジシャンはトリックでどこまで可能なのか」という実践のパースペクティヴが圧倒的に欠如している。手口を知らずに詐欺師を見抜いてやると息巻いているようなもので、彼らは永遠に騙されつづけることになるだろう。この本でもDaiGoのトリックが見抜けなかったことを「トリックはなさそうだった」と書いてしまっているし。完全に手玉に取られとるやんけ。

 それともマジシャンに対して種明かしをしないような"配慮"なのか。

  僕自身はスプーン曲げのトリックは知っているし、実際にルーティンに入れてもいる。「これってマジックなんですか?」と聞かれることもしょっちゅうある。それでも僕のスプーン曲げは錯覚と視線誘導とギミックを使ったトリックに過ぎないが、ユリ・ゲラーや超能力少年はもしかしたらサイコキネシスで曲げている、というロジックは全く通用するので、本当に科学的な態度としてはトリックを知っていたところで彼らが超能力者であることを全く否定できないが、それでもそうした方面に関する知識はまるで無いのだな、と思わざるを得ない。人間である限りマジックには騙されるのだから。
 
 『オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険』もまだ途中だけど読んでいる。アマラとカマラの話は僕も教師が話しているのを聞いていて子供心に「ホントか?」と思っていたが、やっぱり信憑性の怪しい話だったんだね。他の文献には当たってないし、これだけで捏造だと断定するわけにもいかないだろうが、まあカスタネダの与太話くらいに扱っておくのが妥当なんだろう。