アンビシャスカードについて。

 

 アンビシャスカードが素晴らしい古典カードマジックであることには異論の余地がない。ただ個人的に好きかどうかと聞かれると、あまり好きではないというのが本当のところ。

 アンビシャスカードは「もう一回やって!」というリクエストに応えやすいのもあって、演者と観客との対立を招きやすいと思う。ケチをつけるわけじゃないが前田知洋氏の可能性をつぶしていくスタイル(カードを二枚めくっているという人もいる、中から抜き出しているという人もいる……)を真似すると、さらに演者と観客との"勝負"みたいになってしまうところがある。演出次第だろ、という意見もあるだろうがあれはそれ以前の問題で、観客は潜在的に「カードマジックにはトリックがある」という認識なので、前田知洋氏が可能性をつぶしていけばつぶしていくほど観客との対立を煽ることになる。まあ、ラストで大がかりなアンビシャスカードを演じて「いやー、こりゃもうわからん、負けた。素晴らしいマジシャンだ」という感じになるのがあれのいいところではあるのだろうし、実際にそれで一世を風靡したんだけれども。

 まあアンビシャスカード自体ほとんどやらないのだが、よほどやることがないときにはやっている。個人的にはパームやミスディレクションでカード・トゥ・マウスを挟んだりするスタイルの方が好き。

 ミスディレクションを駆使するスタイルってなんとなくストリートマジックぽい雰囲気がある。勝手なイメージだけど。初期のストリートマジックってなんとなくミスディレクションを多用しているイメージじゃない? 違う?

 トライアンフはもっと嫌い。いちばん好きなのはシカゴオープナー。次点でアウト・オブ・ディス・ワールド。