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Marksman Deck by Luke Jermay

 本人のTwitterで告知をしていたのもあってこれは以前から気になっていた。購入しなくても40分くらいの演技のフル・トレーラーが観られる。太っ腹。

 で、せっかくなので演出の参考になるかなと思ってトレーラーを観ていたら、面白かったのがカードマジックの途中で突然いわゆる"指の接近"(マグネット・フィンガー)を始めたこと。

 カードを使ったメンタリズムってなんとなくカード当て、枚数当て、色当てといった「結局カードに仕掛けがあるんでしょ?」とか「テクニックでなんとかしているんでしょ?」で片づけられてしまいそうなものが多くて、なんとなく敬遠しているんだけど、これならそうした割り切りだけでは解釈できない現象が立ち現れるので、観客の焦点を分散できるだろうし、かなり不思議な現象に感じるだろう。当て物の退屈さも解消できそう。

 あー、なるほどねえ、という感じ。たしかにこういう使い方も全然ありだよねえ。場合によってはカタレプシーくらいまで見せてもいいわけだし、あんまやらんけど、カード以外でこういうことやってもいいんだよなあ。ペンデュラムが流行ってるのもそうだけど、まだこの辺りにいろいろと使えそうな種が眠っていそうな感じはあるよね。

 ただまあ、その辺で止めておかないとマジックから催眠術というレールに乗り換えるハメになってしまうので、それはそれでどうなの、という感じにはなるんだろうけど。僕はメンタリズムと催眠術は隣接領域にあると考えているけど、観客はマジックと催眠術は別のパフォーマンスとして受容すると思うし(マジックの途中でなんの予告もなく催眠術に切り替えて深化法とか感情支配暗示を始めたら大半の観客は退屈して「これマジックなの?」という疑問がふつふつと沸き上がるだろうというプラグマティックな判断)。

 肝心のデックだが、ルーク・ジャーメイ版のデランド・デックというマイケル・ウェバーの触れ込みだけあって、ここまでの多機能なマークドは寡聞にして知らない。アンディ・ナイマンの『ザ・コード』も初めて手にしたときには感心したものだが、あれよりもさらに多くのマークドを搭載しており、現象の不可能性も高い。

 機能がどれもルーク・ジャーメイぽい個性が発揮されまくっていて(イメージ的にはジャーメイズ・マインドの『ゼン・アプレンティス』ぽい)、どれもあまりにも不可能性が高い現象なので、そのまま演じるだけでなく、ある程度の説得力を感じさせられないと、それこそ「カードに仕掛けがあるんでしょ」で終わってしまう可能性はある。そして、その推測は正しい。しかし、そうした疑念さえ抱かせなければ、もはや超能力のようにしか見えないだろう。そういう意味でオールドスクールなカードマジックではなく(あえてこれで演じてみるのも楽しいかもしれないが)、メンタルショーの合間で、カードを用いたメンタリズムとして使うものだなと思う。

 リフィル販売してくれんかなあ。これ。一個じゃ足らんよ。

 他にも『Premise and Premonition』もリリースされている。これも「こりゃジャーメイズ・マインド"2"だぜ」みたいなレビューがあって気になっている。こっちも「Touching on Hypnosis」(これが催眠を使わない催眠アクト?)とか、気になる内容が目白押し。

 最悪、英語でもいいんだけど、できれば日本語字幕で観たいなあ(遠い目)。